レジェンド自然案内人 小野木三郎先生ご本人による、オノギ式「この花病」治療法 実技動画
岐阜県のレジェンド自然案内人 小野木先生に会いに行ってきた
小野木三郎先生に、初めてお会いしたのは10年ほど前でした。岐阜県高山市荘川町で、NPO法人エヌエスネット主催の「冬の源流の森指導者養成講座」でした。小野木先生は、白髪の一部を緑色に染め、緑色のジャージの上下、緑色のスカーフ、緑色の長靴を履き、大きな声で方言丸出しでお話をされるおじいちゃんでした。
小野木三郎先生の伝えたいこと1:「この花病」
自然を案内している方は一度は経験されたことがあるのではと思うのですが、案内をしている最中に「この花は何ですか?」「この木は何ですか?」と、参加者から発声される言葉です。
間違いなく参加者は興味を喚起されているのですが、その興味の根源は「知らないことを知りたい」ということです。ただし、小野木先生が問題だと思っていることは、その対象の名前を知るだけで満足してしまっていることです。
人間に例えると、「素敵な名前」なので、お友達になりたい、お知り合いになりたいはずはなく、「その方の人格、趣味、知識」を知ってこそ、お友達になりたいと思うはずですよね?
案内している方は、動植物の名前の羅列をするのではなく、「見方を変える」「参加者自身で調べさせる」「違いを確認してもらう」「似ているところを確認してもらう」など、「よく見る」ということが大事だということです。
小野木先生の伝えたいこと2:日本いいとこ1
「日本(にっぽん)いいとこ世界一、世界中を見たって、日本ぐらいいいところはない」
小野木先生のお話を聞くときには、必ず、「日本がいいとこ」というお話にふれられます。
このお話しは、2つの側面があり、1つ目は「日本の地勢」です。もう一つは「日本の文化」です。
なぜ、地勢的に「日本いいとこ」なのか。ヒントは「標高0m〜3000m」「氷河」です。
例えば、、小野木先生は「岐阜県」を例にして説明をされます。この場合は、「飛騨はいいとこ世界一」です。
まず、日本列島は氷河の洗礼を受けていないということです。
氷河期に北極から南下した氷河が、日本列島手間で止まったので、日本列島は氷河の下にならなかったため、地面を削られず、間氷期の植生が残ったということです。
具体的に説明すると、世界には様々な光景があるのですが、モンゴルの大草原ですが年間降水量は50〜100mmといった、乾燥地や、北極圏に近いヨーロッパや北米は湖畔に雪山と針葉樹が写っている写真が脳裏に浮かぶでしょうが、違った見方をすると、1日中車で走っても針葉樹林の光景が続きます。つまり、比較的新しい植生地です。
例えば、岐阜県で一番低い標高は海津市海津町で−0.3m、一番高い標高は涸沢岳山頂で3110mと、約3000mの差があります。これを気温と植生で見ると、海に面したところは砂地で乾燥しており「ステップ」に近い気候で、夏場であれば30℃程度になります。気温は標高が100m高くなるにつれて、0.6℃下がると言われていますので、3000m上がると12〜15℃前後になります(実際にはもっと気温が下がります)。つまり寒帯に位置します。
- 海辺:ステップ
- 岐阜市:暖温帯(照葉樹林)
- 高山市:冷温帯(夏緑広葉樹林)
- 飛騨山脈の登山口:亜寒帯、タイガ(常緑針葉樹林)
- 飛騨山脈の山頂付近:寒帯、ツンドラ(ハイマツ帯より上)
なんと!乾燥帯である「ステップ」〜「寒帯」までを岐阜県内だけで体験できるということです。
言い換えれば、早朝に海津市を車で出発し、頑張って3000m級の山頂まで歩けば、1〜2日でたどり着くことができるのです。これは、東京を出発して磁北線上に真北へ約4400km北上すれば、ロシア領のツンドラ地帯リャーホフスキー諸島に旅するのと同じと言えるということです。
地域を拡大してみれば、日本列島は南北に3000kmにもわたり、南には沖縄の亜熱帯林のトドマツ、エゾマツ、寒帯に属するツンドラ(低木林)があります。海外に行かずとも、世界を旅できるのと同じなのです。
小野木先生の伝えたいこと2:日本いいとこ2
ダジャレが大好きな小野木先生は、日本語は世界文化遺産に登録されてもいいような存在だといいます。漢字、ひらがな、カタカナと3種類の文字を使い分けるのは日本だけ。英語は26文字で、SUNもSONも発音が同じですが、日本語では「太陽・たいよう・タイヨウ」音を聞いただけで「情景」が脳裏の浮かびます。
小野木先生は欧米の言葉はラジオ型:音だけで情報を伝える、日本語をテレビ型:言葉で情景を伝えるという文化的にも豊かな言語だといいます。
上から読んでも下から読んでも意味が通じる回文(竹やぶ焼けた:タケヤブヤケタ)は、英語では成り立ちません。
最近では、英語でも俳句が流行っているようですが、日本語の場合は「5文字、7文字、5文字」が基本ですが、英語の場合は「音節」で区切ります。この音節がややこしく、さらに、季語を入れなくても良いことになっています。
横文字でしか伝えにくい用語も沢山あるのですが、「かっこいい」とう感覚で横文字を利用するのは、日本人が日本語をダメにしてしまっており、「漢字じゃないと、感じがエー」じゃなくなります。
小野木先生の伝えたいこと3:御嶽山を飛騨山脈に。。
御嶽山を環境省の「中部国立公園」に指定したい。
そして、国に御嶽山を「飛騨山脈(北アルプス)」に正式に指定登録したい。が、小野木先生の願いです。
Wikipediaによると、
国土地理院:国土地理院の「日本の主な山岳一覧」によると、御嶽山は独立峰扱いで、「御嶽山とその周辺」に属することになっています。
岐阜県下呂市:下呂市のホームページ「下呂市内の山」によると、岐阜県と長野県の県境にそびえる飛騨山脈(北アルプス)最南端の独立峰となっています。独立峰ですが、飛騨山脈に属しているということなのでしょうね。
木曽節:有名な民謡「木曽節」の歌詞には、「木曽の御岳(おんたけ)さんは ナンジャラホーイ」となっています。これは、東海や尾張から、御嶽山の雄大な姿が眺められるため、「木曽地方の」御嶽山と認識されるようなったためと考えられています。
日本アルプス:日本アルプスと名付けた人をご存知でしょうか。日本考古学の父とも呼ばれている、ウィリアム・ガウランドです。しかし、飛騨山脈を日本アルプスと印象づけたのは、明治時代に来日していたイギリスの宣教師、上高地の右岸の岩にレリーフが埋め込まれている「ウォルター・ウェストン」です。ウェストンは布教活動をそっちのけにして、日本で登山にのめり込んだようです。Mountaineering and Exploration in the Japanese Alps:日本アルプスの登山と探検という著書を残しました。その著書の中に、「御嶽山」が掲載されており、御嶽山は「日本アルプス」の一部だという説があります。
小野木先生にあってきた!!
小野木先生が居住する、岐阜県高山市に行き、小野木先生の自然観察会に参加してきました!
オノギ節炸裂しています。
これからも、機会をつくり、小野木先生の取材記録を残していきます。