【生活発表会】なんていらない?

久しぶりの投稿!

11月下旬から12月上旬にかけては、幼稚園、保育園、こども園の「生活発表会」のシーズンなのです。
ですから、私、カツオも11月下旬〜12月上旬は比較的「お暇」なのです。

不思議なんですよねぇ。「生活発表会」があるので忙しいって。何しているんでしょうね。

この時期の北陸は、天候が悪く、「雪が混じった雨が振りやすいので。。」という理由ならわかります。

おそらく、とってもがんばって、歌の練習をしたり、演劇の練習をしたりしているのでしょうね。「お遊戯会」と呼んでいるところもあるのです。

でもねぇ、『生活発表会』なんですよね。

【幼稚園教育要領では】

幼稚園教育要領

表現
感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。
1: ねらい
(1) いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
(2) 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
(3) 生活の中でイメージを豊かにし,様々な表現を楽しむ。

2:内容
(1) 生活の中で様々な音,色,形,手触り,動きなどに気付いたり,感じたりするなどして楽しむ。
(2) 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ,イメージを豊かにする。
(3) 様々な出来事の中で,感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
(4) 感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりなどする。
(5) いろいろな素材に親しみ,工夫して遊ぶ。
(6) 音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
(7) かいたり,つくったりすることを楽しみ,遊びに使ったり,飾ったりなどする。
(8) 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり,演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。

3 内容の取扱い
上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 豊かな感性は,自然などの身近な環境と十分にかかわる中で美しいもの,優れたもの,心を動かす出来事などに出会い,そこから得た感動を他の幼児や教師と共有し,様々に表現することなどを通して養われるようにすること。

(2) 幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので,教師はそのような表現を受容し,幼児自身の表現しようとする意欲を受け止めて,幼児が 生活の中で幼児らしい様々な表現を楽しむことができるようにすること。

(3) 生活経験や発達に応じ,自ら様々な表現を楽しみ,表現する意欲を十分 に発揮させることができるように,遊具や用具などを整えたり,他の幼児 の表現に触れられるよう配慮したりし,表現する過程を大切にして自己表現を楽しめるように工夫すること。

文部科学省 :https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/you/
見やすくするため、一部体裁を触っておりますが、内容や表現には修正はありません。

何も権限のないカツオが、云々言っても仕方がありません。
そこで、幼稚園・保育園・こども園などのバイブル「教育要領」ではどうなっているのかを調べました。

教育要領の中には、「生活発表会」「お遊戯会」「表現会」などの具体的な表現はありませんでした。
一番近いかなぁと思えるのが、5領域(「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」)の中の「表現」でした。
ちなみに、「生活発表会」を実施しなさいという指示らしいものもありません。

【生活発表会】は●●する「場」じゃないの?

生活発表会は、普段はなかなかじっくりと見ることができない『生活』の場を発表する場、空間、時間、環境なのですよ。

それが、いつの間にかね、歌って、踊って、演劇して、、、ってわけになるわけです。
そして、その裏には、担任の先生たちが(理事長、園長そして保護者から)「あの先生、やる気ないのじゃない?」「△△先生の時は衣装が可愛かったよね。。」などというセリフが耳に届くことを、COVID-19に感染することよりも恐れ、ここ大事→:通常保育を軽んじてでも、サービス残業になることも構わずに、発表会の準備をするのです。

つまり、生活発表会≒先生たちの指導力(指導力ではないと思うのですが)発表会の場になっており、市長や教育長、理事長、園長、保護者までもが「そのことを当たり前」と信じて疑いさえしません。

【発表会の準備】その裏には、世にもおぞましい。。

北陸地方の保育園関係の運動会は、9月の後半の土日に実施されることが多い。のだ。

運動会の終わりは、『普通の』幼保育園に務める担任の先生にとっては、100m走のスタートピストルよりも耳に響くようなのですよ。
運動会明けの月曜日からは

  • 踊りの曲
  • 踊りの振り付け
  • 踊りの衣装
  • 演劇のストーリー決め
  • 演劇のセリフづくり
  • 演劇の衣装
  • 演劇の舞台セット
  • 歌の練習
  • 踊りの練習指導
  • 演劇の指導:これはなかなかつらい(はずな)のです。保護者会の会長の子息がクラスいると、その園児本人が、どんなに主演なんかに『なりたくなく』ても、あるいは客観的に演劇にどんなに向いていなくても、『主役にはつけないといけない』。。さらに、主要な役割は複数の園児が担当しています。つまり、Aくんにセリフを教えるだけでなく、Bくん、Cちゃんにも教えることになってるのです。(いませんか?)

普段は、職員ミーティングでもほとんど口を開かない園長が、この3ヶ月だけは元DJに憑依されたかのように、準備の進行度合いを確認されています。

事実の話です

カツオと、まぁまぁ長いお付き合いをしていただいている保育園の主任さんから。。
つい2週間ほど前に、森でお会いした時に、

主任:『この子たち、発表会でストレスた溜まっているんですよ』
カツオ:『??』
カツオ:(こどもたちに)『発表会で何をしたの?』
子どもたち:『合唱、笛、ダンス、演劇、合奏、跳び箱、◯◯踊り』
カツオ:(指折りかぞえながら)『7こもやったの?』
子どもたち:『ちがうよ。合唱は2回した!』

主任や担任の先生たちは、子どもたちが発表会を通じて、ストレスが溜まっていることを知っているのです。
おそらく、子どもたち以上にストレスが溜まっているのは先生たちだったのでしょう。

【そして、園児らの基本的人権?】は無視される

そうです、口にはできないプレッシャーを背負った担任の先生たちは、この2ヶ月は仮面を脱ぎ捨てて、あるいは、仮面をかぶり準備をするのです。もちろん、通常保育も同時並行で。。

これは、ある保育士から聞いた、同僚の保育士の話
保育士が考えた振り付けを、園児たちに何度も練習をさせ、舞台に立たせて踊らせたところ、期待したほどのできではなく
「へーたくそ、へーたくそ」と手拍子をしながら、園児たちに聞こえるように囃したそうです。

この保育士、普段の保育のときも、園児との距離には問題があったそうですが、プレッシャーに追い込まれ。。。
アルフレッド・アドラーは、ほめるのも、叱るのもよくないと言っています。
上手にできたから、ほめちぎることもないのですが、上手にできなかったからと、けなすことは絶対に不要ですよね。

このように、プレッシャーの塊を背負った保育士は、日々の保育よりも『生活発表会』で頭がいっぱいになってしまいます。

【『生活』発表会】はどうする

『それじゃあ、カツオさん、生活発表会はどうすれば良いというのですか?』

この投稿の核心。

10年ほど前から、「発表会(表現会)はやめなさい!」と言い続けてきて、、そして、「発表会はどうすればいいのですか?」と聞かれ続けてきました。

生活発表会は、「生活」を発表する場なのです。園児たちが「生活発表会の場」を見てもらいたいのは、パパ・ママ:保護者なのです。園児たちと相談をしましょう。

「パパとママに何を見てもらいたいですか?」

この質問に対する答えは、成長とともに変わるでしょう。日々得ていく気づきと知識が変わるからです。
それでいいのです。今、子どもたちが興味があること、熱中していることが子どもたちの答えになるでしょう。
逆に、答えがでなければ、「興味があることがなく、熱中していることがない」ということだと思いませんか。

これが、普通なのです。

【準備はいつから? 生活発表会】

答え:4月1日から

4月1日から、生活発表会の準備は始まります。
担任が変わると、クラス(お部屋)がグダグダになることが少なくはないですが、そんなことにめげずに、担任の先生は「◯月の生活発表会は何をしたい?」「どんなことを、パパとかママに見てもらいたい?」を唱え続けます。

積んでは崩し、積んでは崩しを繰り返してください。
1回の声掛けでは決まりません。
子どもたちが考えればいいのです。子どもたちが相談する場と時間を設ければいいのです。
今!パパとママに見てもらいたいこと。
パパとママに見てもらえるくらい、1年を通して頑張ってやってみたこと、あるいは素晴らしい発見、楽しかったこと。

恐れないでください。
成長には個人差があります。
だから、発表会の場では、個人差が生まれます。
個人差は当然存在していいのです。
我々は、笛を吹いて、一糸乱れず整列できる軍人を育てているのではありません。
個性や特性を活かし、考える力、自分なりの表現ができる力を持つ子どもを育てているのですよ。

生活発表会の場
見惚れるように、歌う子どももいれば、全く話もできず、泣きじゃくってしまう子どももいます。
でも、それが、この子どもたちの、今の能力と技術、そしてやる気、考え方なのです。

【保護者対策】はどうすべきか

保護者対策
はっきり言って、面倒です。

あなたの園が、「生活発表会を、生活を発表する場」として利用していると、認識されるまでかなりの年数が必要です。

上に掲載した写真は、ある保育園の生活発表会の場です。
10年以上前から、この保育園にも、「生活発表会の練習は4月から始まる」と、気づいてもらえるように伝え続けてきました。

この保育園の生活発表会は、4月から準備を始めます。
担任の先生が、「生活発表会では何を見てもらいたい?」 これを繰り返します。
そうすると,子どもたちが勝手に相談をはじめます。
積んでは崩し、積んでは崩しです。
この積んでは崩しを6ヶ月も続けると、だんだんと、相談の進行がうまくなり、みんなが意見を言えるようになります。

この保育園では、子どもたちが、何をしたいのか、何をみてもらいたいのかをほぼ決めました。
衣装も子どもたちの手作りです。
本格的な練習は本番2日前からです。(ですから、劇などはぐたぐたです。本番でも脇役が主役のセリフを大きな声で主役に教えたりしています。)
演劇をするとなると、配役も子どもたちが決めます。これは面白いです。1年前には舞台で声をあげることもできなかった子どもが、自ら主役になりたいと宣言したりもします。

この保育園は、子どもたちが主体的に実施する発表会へ梶を大幅に切ったのは、2020年です。コロナ禍1年目でした。

2023年秋、マスクを着用している人の割合も少なくなり、同じ形で生活発表会を実施してくれました。
『コロナ前のような形に戻してほしい』 残念ながら、保護者からご意見をいたただいたそうです。

この保育園は、「生活発表会を変える」、「主体的な教育をするため、行事を少なくする」という宣言を、保護者には入園説明会のときと、年度初めしか伝えていませんでした。
最終的に、生活発表会を変化させたのは、「まん延防止等重点措置を言い訳に利用」しつつでした。心の奥の方に、「生活発表会を変える」ことで「保護者の反発がある」と予想していたからなのだと思います。

2023年の生活発表会。予想どおり、保護者からの「物言い」がつきました。

『コロナ前のような形に戻してほしい』


この意見が出るのは、あらかじめ想定はしていましたが、その数が想定以上に多かったのです。
先生たちからは、『入園の際に、誓約書をいただいている』という声も聞きました。

『言ったことは、伝わらない』


この保育園は、機会があるごとに、何度も伝えようとしていませんでした。
最近のテレビのコマーシャルの多くは、「新発売!」「今ならお得!」ではなく、「◯◯な会社なのですよ」というイメージ戦略が多いと思いませんか?
イメージ戦略が大事なのです。

行事の背景(ねらい)を解説する。
生活発表会へ向けての子どもたちの様子を知らせる。
なぜ、生活発表会の取り組み方を変えているのか、そのメリットを伝えつづける。

保護者が、◯◯保育園の生活発表会は、「◯◯◯◯なのよ!素敵でしょ?」と、広報をしてくれるようになるまで、伝えつづけることが大事です。


1回のお便りでは通じません

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です