コロナ禍に負けない秋! 園児らの外遊びに注意したいポイント1

天候の変化に敏感になりましょう

天高く馬肥ゆる秋:乾いた空気が日本の空を覆うため、空気中の水蒸気量が減ります。そのため、空気が澄み空が高くなり、遠足や運動会などの行事も多くなります。しかし、秋は秋雨前線(停滞前線)から始まり、雨台風の接近や上陸で災害が多い季節でもあります。

天高く馬肥ゆる秋

天高く馬肥ゆる秋:ユーラシア大陸の高気圧が南下し、乾いた空気が日本の空を覆うため、空気中の水蒸気量が減ります。そのため、空気が澄み空が高くなります。

秋の雲のイメージといえば、イワシ雲や、空の上の方のレース状の雲を思い浮かべませんか。
イワシ雲:巻積雲(けんせきうん)
レース状の雲:巻雲(けんうん)
これらの雲は、上層雲といい、上空5000m〜13000mと比較的高いところにできる雲です。

逆に、雨を降らせる雲は、「乱層雲」と「積乱雲」の2種類のみで、下層雲に分類されます。
乱層雲:しとしと雨を降らせる雲で、およそ500m〜3000m
積乱雲:雷を伴ったり、激しい雨を降らせる雲で、500〜13000mくらいまで

高いところに雲ができやすくなるので、空が高くなったように見えます。

秋雨前線のお出ましだ!

夏に、酷暑をもたらした、太平洋高気圧の勢力が衰え、大陸の高気圧が日本列島に張り出してきます。熱く・湿度高い空気のかたまりと、比較的涼しく・湿度の低い空気のかたまりが、ぶつかりあう所は、大気の状態が不安定になります。とても、大雑把な説明ですが、それが、秋雨前線(停滞前線)です。

https://weathernews.jp/s/topics/202108/310105/ より抜粋

秋雨前線は、梅雨のように長らく停滞することはことは少ないのですが、全国的にぐずつくことが多いです。
また、上の天気図の移り変わりをよく見ていただければわかるのですが、3〜5日は停滞前線(半円と三角)ですが、6日には西のほうが温暖前線(半円)となり、さらに7日には低気圧と伴う寒冷前線(三角)に変化する予報になっています。
これは、雨ばかりではなく、曇ったり、しとしと降る雨に変化すると読み替えることができます。

余談ではありますが、天気図に寒冷前線が現れると要注意です。
寒冷前線は、突風、突然の大雨、雷などをもたらし、前線通過後には気温の低下を伴います。運動会などでは、テントが吹き飛ばされたり、落雷の被害が予想できます。遠足や登山などでは、落雷、降雨によって衣服の濡れ→その後の気温低下による「低体温症」が予想できます。
天気図に寒冷前線が現れたら、突風、雷、雨などが伴うことを予測した対策をしましょう。寒冷前線は時速30〜50kmと比較的早いスピードで移動しますので、降雨の時間帯は長くて3時間程度、短ければ1時間未満ですので、屋内に避難できる場所を確保しておきましょう。また、寒冷前線の動きは、以前紹介したXバンドMPレーダーでしっかりと確認できます。

台風シーズン

秋雨前線とともに心配しないといけないのが、秋台風です。

以下のグラフのように、8月〜10月は台風の発生時期です。2020年度は上陸数が「0」個(2008年以来です)。1991年以来の30年来の統計を見てみると、年間あたりの平均上陸数は3.03個と意外に少ないですが、7月〜10月に集中しています。また、台風は上陸だけではなく、「接近しただけ」でも影響が出ることがあります。

気象庁のデータをグラフ化 : https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/generation/generation.html

夏は風台風、秋は雨台風

2019年9月に発生した台風を覚えていらっしゃられるでしょうか。千葉で甚大な被害:(ゴルフ練習場のネットを支える柱が倒れた)をもたらした台風です。この台風は、気象庁が1977年の沖永良部島台風(日本で観測史上、中心気圧が一番低かった)を名付けて以来、40年ぶりに名付けられたほどの被害をもたらした「令和元年房総半島台風」です。


打ちっぱなしのゴルフ練習場のネットを支える支柱が倒れ、10棟ほどの家屋の屋根を壊した映像を覚えている方も少なくないのではないでしょうか。
この台風は、神奈川県の三浦半島にかろうじて上陸し、そして千葉県の房総半島へ再上陸する、ブーランの飛行コースのようなたどっています。上陸というよりは接近に近い台風でした。


台風の風の強さは、中心気圧で予想されています。台風は熱帯「低気圧」ですので、低気圧の中心に向かって風が吹き込みます(ちなみに、低気圧は周囲よりも気圧が低い空気のかたまりということです)。台風の強度は風力で表されますが、以下のように中心気圧からも想定できます。

弱い 990hpa以上
並み 960~989hpa
強い 930~959hpa
猛烈 900hpa

つまり、中心気圧が低くなればなるほど、周りから吹き込む風の強さが増すわけです。
気圧差を、高さに置き換えてもらうとわかりやすいかもしれません。高気圧は周囲よりも気圧が高い空気のかたまりのことで、日本付近では、中心気圧が1000〜1030ヘクトパスカル(haP)程度になります。仮に、太平洋高気圧が1030haPで、令和元年房総半島台風クラス(950haP)の熱帯低気圧がやってくるとすると、1030mの高さから950mの高さにものを落とす感覚です。高さでは80mですが、80haPの場合は結構な気圧差です。

登山をする方には伝わりやすいかと思いますが、地図上の等高線が密なところは急斜面で、疎なところは緩斜面と同じく、台風も等圧線が密になれば風が強くなります。
つまり、等圧線が「牛乳瓶の底のようなレンズ」の場合は、風が非常に強いと考えてください。

台風は、自力で動けないのである程度予想できる。

天気予報は、気象予報士に行わせることと義務付けられています。ですから天気予報は、各社によって微妙に異なるのはそのためです。
しかし、台風は昭和27年に制定された、70年前の法律「気象業務法」に縛られたままで、「台風については進路等に関する情報は、気象庁の情報の解説の範囲内にとどめること」となっており、気象庁の情報しか使えないことになっています。

しかし、少し英語がわかる方が、インターネット検索を駆使すると、ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)やら、米海軍のJoint Typhoon Warning Center (JTWC) などの予報を目にすることができ、最大10日先の予報が見られたりします。

台風は最大瞬間風速17.2m以上で、高温の水蒸気を含む空気の塊で、海水温が26度以上の条件がそろった低気圧のことをさします。
17.2m以上の風速が伴う低気圧であれば、空気を吐き出しなが飛ぶ風船のように動いてもよさそうなものですが、自力では移動できません。
台風は生まれた場所で移動する方向が変わりますますが、基本的には地球の自転の力で生まれる「コリオリ」のちからで北へ押されます。南太平洋で生まれた台風は東から吹く貿易風に押されるので西へ移動します。夏前にはフィリピンやベトナムなどへ向かいます。そして日本列島付近まで北上すると、次は偏西風におされるように北東へ流されます。


また、高気圧は中心から風を吹き出すため、台風は高気圧に押されるため、高気圧の影響も受けます。天気予報を見ていると、太平洋高気圧の縁を沿うように移動するという解説を見るのはそのためです。太平洋高気圧の勢いが強く、日本列島全体に覆いかぶさるように張り出している時に、台風が太平洋沿岸を通らず、日本海側に抜けるのはそのためです。

天気図を見て、太平洋高気圧の張り出し方だけでもだいたいの台風の進路が予想できます。

余談ではありますが、台風の勢力は海水温でも予想できます。気象庁のWEBページに「海面水温実況図」があります。海面水温が30度以上と高くなると、「大型で猛烈な台風に発達」しやすくなります。
下の図は、海面水温実況図を抜粋したものですが、この記事を書いている段階では、房総半島より南の海域は28〜30度となっており、危険な状態といえるでしょう。

2021年9月4日 国土交通省気象庁 海面水温実況図より抜粋

つまり、何がいいたいのか。。
気象庁の予報だけでなく、天気図を見たり、インターネット検索を駆使して、ヨーロッパやアメリカ海軍の予報もみて自身でも予報しましょう。。。ってことです。

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